2016年提言書

地域における男女共同参画の推進に向けて

  1. 女性リーダーの育成を図ること
  2. 公民館職員の研修を義務化すること
  3. 「地域における諸団体の長等への女性の参画状況」の統計に自治会長ならびに自主防災組織の長を入れること 

 

年度で全ての区の「男女共同参画協議会」が「連絡会」へと移行しました。

予算減となったため、区レベルでの事業実施・広報紙の発行がなくなるなど、活動の低下が見られるのは残念です。その分、各校区での「男女共同参画推進組織」の活動が期待されるところですが、校区間の取組に温度差があるのが現実です。

 このことに鑑み、地域における女性リーダーの育成は大変重要です。

 現在、「モデル校区地域リーダー育成塾」が2校区で実施されていますが、全ての校区を対象に、行政で取り組んでいただきたいと思います。

 また、公民館職員が果たす役割の大きさから職員研修の義務化をお願いすると共に公民館必須事業として「男女共同参画講演会」等の取組の徹底が必要と思われます。

 また、毎年7月1日に発表される「地域における諸団体の長等への女性の参画状況」に自治会長〔町内会長〕が入っていません。国の「第3次男女共同参画基本計画」〔平成27年度迄〕では、自治会長に占める女性の割合の成果目標を10%と明記しています。福岡市には2,300余りの自治会があり、自治会長の役割は本当に大きなものがあります。ここで女性の力が発揮できれば、地域における男女共同参画は大きく前進すると思われます。さらに東日本大震災の例でも明らかなように、防災についても女性の視点は不可欠です。自治会長並びに各校区自主防災組織の長についても公表すべきです。

 

 地域における男女共同参画の推進に向け、さらなる支援の強化を提言します。

審議会等への女性登用率を上げること

  1. 女性委員ゼロの審議会等を解消すること
  2. 2015年度内に、審議会等における女性登用率35%を達成すること

本市の審議会等への女性登用率の目標値は、平成27年(2015年)度までに35%となっています。しかしながら、2015年6月の段階では32.7%とまだ目標値には到達しておりません。

さらに深刻なことには、福岡市の99の審議会等において下記のような女性委員ゼロの審議会等が6つ存在することです。

                    

○地方自治法(第180条の5)に基づく審議会(全13中)

 ・市選挙管理委員会 

 ・監査委員

 ・農業委員会

 ・西区選挙管理委員会

○地方自治法(第202条の3)に基づく審議会(全86中)

 ・福岡都市計画事業伊都土地区画整理審議会

 ・福岡都市計画事業香椎駅周辺土地区画整理審議会

(2015年6月1日)

 

 

市長の強いリーダーシップの下、2015年度女性登用率35%の数値目標を達成

すること、さらに担当課のヒアリングを早急に実施し、女性委員ゼロの審議会等を解消するよう提言します。

アミカスの「子どもの部屋」の対象年齢を小学生までに引き上げること

男女共同参画推進センター・アミカスは、条例第25条で、福岡市が男女共同参画の推進に関する施策を実施し、市民等による取組を支援するための拠点施設と位置付けられています。

現在アミカスでは、子どもの部屋を「乳幼児を持つ親が事前に申し込みをすることにより、安心して講座や講演会に参加できるよう」、生後6ヵ月~就学前の子どもを対象に託児グループによる託児を行っています。また、市民グループ活動支援事業でも子どもの部屋を利用することにより託児付きを当たり前とするような事業も増えてきており、子育て期の親の学習や活動を支援することに役立っています。

 

ところが、子どもが小学生になると子どもの部屋は利用できません。低学年の子どもを育てる保護者たちは、日曜日や祝日に子どもを預かってもらえる場所がなく、一人で留守番させることが難しいため受講を諦めざるを得ないといいます。

 

乳幼児と小学生を一緒の部屋で保育すると、小学生が大声を出したり、暴れたりするから危険ということかもしれませんが、小学生は見守る大人がいると、自分で持ってきた宿題や読書をしておとなしく過ごすことができます。また、兄弟児の場合は下の子は兄弟姉妹が一緒にいることで落ち着いて過ごせますし、一人っ子の場合など異年齢の子どもと接する良い機会となるのではないでしょうか?

 

子育て支援に力を入れている福岡市ですから、子どもや家庭の事情によって託児をお願いした方がよいケースに対応できるよう「子どもの部屋」の対象を小学生までに引き上げるよう提言します。

子育て支援の強化・拡充を図ること

  1. 保育施策をさらに拡充し、待機児童・未入所児童をゼロにすること

  2. 教育の平等を期するため就学援助の範囲を拡大すること

福岡市男女共同参画基本計画(第2次)において、平成25年度の重点評価項目になっている「子育て支援の充実」については、最大の課題は、すべての子どもが希望する保育所に入所できることだと思われます。

平成26年度当初は待機児童ゼロの目標が達成され、年次報告書では「評価A」となっています。しかし274月には、待機児童数61人、未入所児童数1,532人となり、保育所に入れない子どもたちが増え続けていることは大きな問題です。

毎日の送り迎えや通勤事情にも配慮したうえで、希望する保育所に誰もが入所できるように、保育施策の拡充を提言します。

 

 また、ひとり親家庭の増大や子どもの貧困化が進む中で、経済的な事情で十分な教育が受けられない子どもたちが増えています。

平成26年度は、就学援助を受けることができる市民税・所得割額の上限が15歳以下の子ども2人の家庭で102,500円でした。しかし27年度では、89,000円と上限額が引き下げられ、就学援助が受けられなくなった人が増えています。

家庭や子どもたちのおかれている状況の如何にかかわらず、誰もが義務教育、高等教育を等しく受けられるよう、就学援助・就学支援対象者を拡大するよう提言します

福岡市職員の新規採用者における女性比率を50%以上に引き上げること

8月28日に成立した「女性活躍推進法」では、301人以上の労働者を雇用する事業主は、①採用者に占める女性比率 ②勤続年数の男女差 ③労働時間の状況 ④管理職に占める女性比率の4点について、把握・課題分析を行うこと、行動計画の策定・届出、情報の公表などが義務付けられました。

本市は既に「福岡市職員の人材育成・活性化プラン」に基づいて、「女性職員の活躍推進」に取組んでいるところですが、本市の女性政策には重大な問題があります。図1(添付資料)の「福岡市職員における女性の比率の推移」を見ますと、新規採用者における女性比率が平成18年~20年では40%を超えていますが、20年以降は35%前後に減少し、一向に回復の兆しがありません。この事が全職員に占める女性比率を30%以下に停滞させ、平成26年現在で29.2%です。役職者(係長以上)は僅かに増えていますが、平成26年度で15.7%です。このまま何の手立ても施さなければ、「全職員の構成が男女半々(平等)の福岡市」は永久に実現しないことは明らかです。

図2には本市採用試験一般行政職(上級、中級、および初級)の受験者、合格者、採用者における女性比率を、図3には、上級試験について同様の女性比率を示しています。図2,3共に、受験者の女性比率が減少しており、合格者・採用者もこれに連動して減少しています。図2に新規採用者の20政令指定都市の平均値を示していますが、平成21年度以降は、本市の女性採用率は、政令指定都市の平均より10%近く下回っており、平成25年度*では第19位でした。

 

内閣府男女共同参画局の平成26年度のデータが未発表です。

 

できるだけ早い時期に「職員の男女比がほぼ同数の福岡市」を実現するために以下のような女性受験者を大幅に増やすための積極的な取組を提言します。

1) 福岡県内の大学・短大、高校などに向けて、女性を対象にした募集活動を行う。

2) 女性のためのセミナーを開催し、行政の第一線で活躍している女性職員が、女性の立場から公務の魅力や勤務の実情などの情報を発信する。

3) 「女性活躍推進法」に基づく行動計画は、実態・課題分析を行い実効性のある計画とし、進捗状況も公表する。

市職員のワーク・ライフ・バランスを推進すること

  1. 長時間労働の実態調査・分析を行い、長時間労働解消に向けた有効な手段を講じること
  2. 男性職員の育児休業取得義務化など、思い切った施策を講じること

福岡市男女共同参画基本計画(第2次)の平成25年度重点評価項目となっている「ワーク・ライフ・バランスの推進」については、まだ多くの課題があると思われます。

福岡市内の事業所におけるワーク・ライフ・バランスを推進するためには、まず、福岡市が市職員のワーク・ライフ・バランスを推進する率先垂範が重要だと思います。基本計画に掲げられている「福岡市特定事業主行動計画

に基づく仕事と家庭の両立支援策を推進するためにも、まず市職員の長時間労働の削減が必要です。庁内における労働時間の実態調査やその分析を行い、長時間労働解消に向けた有効な手段を講じることを提言します。

 

また、もう一つの課題は、男性が家事育児に参画できる環境整備をどう進めるかということです。

福岡市の男性職員の育児休業取得については、取得者の平成26年度目標値が5%と低く設定されているにもかかわらず、26年度は4.2%と目標値に達していません。市職員が他に先駆けて模範となるように、男性職員の育児休業取得義務化など、思い切った施策を講じることを提言します。

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